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「MACのレガシー」開催(後編)浅賀佐太郎氏が語る回復の歩み/みのわマック

8月28日、「MACのレガシー」を開催し、約150人が参加した。草創期を知るメリノール女子修道会のシスター照子氏、ワン・ステップ元施設長の浅賀佐太郎氏を招き、受け継がれてきたメッセージについて語ってもらいました。(後編)

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 8月28日に開催した「MACのレガシー」では、2人のゲストスピーカーを招きました。前回はシスター照子氏の講演を紹介しました。今回は、もう一人のゲストスピーカーである浅賀佐太郎氏が語った、ミニー神父と山本さんから受け継いだ言葉(※1)をお届けします。

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浅賀佐太郎氏「回復はね、だんだんとでしょ」

 ミニー神父から聞いた言葉の中で、非常に印象深かったのが「回復はね、だんだんとでしょ」という一言です。「二段跳び、三段跳びはないよ。だんだんと、ゆっくりなんだよ」と。あの時はよく分かりませんでしたが、今ではその意味がよく分かります。回復は急いでもだめなのだと。非常にシンプルに伝える人という印象を、その時持ちました。

 私は1998年にみのわマックにつながりました。9月1日、みのわマックの玄関を初めてくぐり、バーブ山本さんに面接していただきました。面接だけだろうと思っていたら「今日からやってくれ」と言われ驚きました。思わず「明日からにしてください」と口にしたのは、酒を飲んでいた頃の習性だったのかもしれません。

 山本さんは「わかった、明日からちゃんと来いよ」とだけ言いました。その時は「しめしめ」と思いましたが、病院へ戻る途中、「今日はいいだろう」と飲みたい気持ちが湧き上がり、自分と向き合わざるを得ない怖い時間を過ごしました。

「なんだ、文句があんのか」山本さんの言葉

 山本さんからも多くの言葉をいただきました。特に印象的だったのは、顔を合わせるたび「なんだ、文句があんのか」と声を掛けてくれたことです。当時は不思議でしたが、今ではその意味が分かります。私たちは不満や文句を心に抱え込みがちです。山本さんは「その文句を言え。俺が聞いてやる」と促してくれていたのです。

 山本さんの前に出ると、自分の心の中まで見透かされているように感じました。自分だけ楽をしたい、得をしたいという気持ちを持っていても、この人には隠せない。そう思わせる不思議な力を持っていました。

 山本さんは「俺たちは面倒くさくしたがる、難しく考えたがる。だから自分で訓練してきた」と話していました。自分の弱さや欠点を知り、変えていく努力を重ねてきた人だからこそ、あれだけシンプルに伝えられるのだと思います。「12ステップを中心に考えろ」という山本さんの言葉は、今も私の指針になっています。できているかどうかは分かりませんが、飲んでいないこと、生きやすくなったことは確かです。

 みのわマックを終了して数年後の2002年、マックリブ作業所の石井さんから「職員にならないか」と声を掛けてもらいました。山本さんに相談すると「どこでやったって一緒だ」と言われましたが、マックリブ作業所で働くことになりました。お酒をやめたい人たちが全国からやって来る現場は想像以上に大変で、「こんな割に合わない仕事はない」と思ったものです。石井さんや山本さんはこれを20年、30年と続けている。普通の人にはできないことだと思いました。

「逃げるな」受け継がれる言葉

 逃げ出したくなり、山本さんに「もうやだ」と打ち明けたとき、返ってきたのは「逃げるな」という一言でした。後で知ったのですが、山本さん自身もミニー神父から同じ言葉を言われていたそうです。

 自分がいただいた言葉を、次の人へ返していく。その原理を、私たちは知らないうちに受け取りながらプログラムを進めているのだと、今では心から恵まれていると感じています。

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受け継がれていく言葉の力

 浅賀氏の体験は、ミニー神父が説いた「生きざまを通して伝わるメッセージ」の実例そのものです。ミニー神父から山本さんへ、山本さんから浅賀氏へ、そして浅賀氏から次の世代へ。「逃げるな」という言葉は、単なる励ましではなく、自分自身が受け取った言葉を次の人へ返していくという12ステッププログラムの本質を体現しています。

 「MACのレガシー」で語られた2人の講演は、依存症回復支援の草創期から受け継がれてきたメッセージが、今も確かに生き続けていることを示しました。

※1: 『みのわマック便り』(2025年10月号), p.2


みのわマック とは

1978年6月、日本で初めて12ステッププログラムを使って依存症者の回復と成長をサポートするアルコール等依存症者リハビリテーションデイケア施設「三ノ輪MAC」として発足しました。設立者もアルコール依存症者の当事者であり、当事者による当事者へのサポートを大切にしています。

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