オンラインカジノの広告やSNS投稿を見て、「ちょっとなら大丈夫」と思ってしまう人は少なくありません。ところが、その裏側では、借金や生活破綻、家族関係の崩壊にまでつながるギャンブル依存症のリスクが広がっています。 こうした状況を受けて2025年、「ギャンブル等依存症対策基本法」が改正され、違法オンラインギャンブルへの誘導行為の禁止と、国・自治体・プラットフォーム事業者による周知・抑止の仕組みが強化されました。
2025年6月18日、「ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律」が参院本会議で可決、成立しました。6月25日に公布され、公布から3か月後の9月25日に施行されました。改正のねらいは、違法なオンラインギャンブルへの入り口を塞ぎ、依存症の悪化を防ぐことです。
この法律は18年に制定され、ギャンブル等依存症を「本人の努力不足」ではなく治療や支援が必要な問題と位置づけ、国・自治体の責務を明確にしています。当初は、公営競技やパチンコなど既存のギャンブルを中心に対策が議論されてきました。しかし近年急増しているオンラインカジノなど違法ギャンブルへの対策は十分とはいえませんでした。
25年改正では、「違法オンラインギャンブルに人を誘い込む行為」そのものを初めて明確に禁止しました。具体的には次の行為が禁止対象です。
・ 違法オンラインカジノ等のサイトやアプリを紹介する行為
・ ブログ、SNS、動画、ランキングサイトなどを通じて違法オンラインカジノに誘導する行為
これらを「広告・誘導はしてはいけないこと」と明文化し、国・自治体が「オンラインカジノは違法である」と積極的に周知することも求めています。
また総務省は、プラットフォーム事業者向けの指針を改定し、オンラインカジノへの誘導広告などを「違法なおそれが高い情報」として削除要請できる枠組みを整えました。ネット上に氾濫していた「カジノで楽に稼げる」「負けない必勝法」などの情報は、今後厳しく扱われることになります。

ただし、今回の改正法には刑事罰や行政罰などの罰則規定は含まれていません。違反行為への直接的な処罰ではなく、プラットフォーム事業者との連携による情報削除要請など、間接的な抑止策が中心となっています。
オンラインカジノは、スマホ1台あれば夜間・在宅でも誰にも見られずに高額な賭けを続けられるため、借金や生活破綻、家族関係の崩壊につながりやすい特徴があります。厚生労働省の資料にもあるように、ギャンブル依存症は「やめたくてもやめられない」脳の病気であり、意思の弱さではありません。だからこそ、「楽に稼げる遊び」としてアクセスさせない環境づくりが、支援の入り口になります。
一方で、法改正だけで依存症の問題が解決するわけではありません。すでにオンラインカジノやパチンコ、競馬などで生活が壊れかけている場合、医療機関、回復支援施設、自助グループなど、継続的な支援につながることが大切です。
もし「借金が増えている」「仕事を休みがちになった」「家族から心配されている」といった状況があれば、それはギャンブル依存症のサインかもしれません。一人で抱え込まず、専門機関に相談することで回復への道が開けます。
この法改正は、取り締まり強化だけでなく、依存症を病気として捉え、治療・回復支援につなぐ土台づくりという側面を持っています。オンラインカジノが違法であることを正しく理解し、必要な時には適切な支援につながることが、回復への第一歩です。
・ 衆議院「ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律案」(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21705037.htm)
・ 日経新聞「オンラインカジノ利用337万人 賭け金1.2兆円」2025年3月13日
・ ジャパンマック「依存症とは」(https://japanmac.or.jp/addiction/index.html)
依存症は、適切な支援により回復が可能な「病気」です。 ジャパンマックでは、支援が必要な方々に生活支援と回復プログラムを継続的に提供しています。 活動の継続には、皆さまからのご支援が大きな力となります。 私たちの取り組みに賛同いただけましたら、寄付で応援をお願いいたします。