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「依存」と「アディクション(嗜癖)」の違いとは? ジャパンマックの依存症調査・研究をもとに解説

「依存」と「アディクション(嗜癖)」の違いについての解説です。ふだんの生活では、実質的にほぼ同義語として扱われることが多い両者ですが、言葉の本来の意味合いや、専門的な診断基準の中での扱いに以下のような違いがあります。ジャパンマックの依存症調査・研究をもとにまとめてみます。

 「依存」とは(健康なものと病的なものがある)

 「依存」という言葉そのものは、「他に頼って存在、または生活すること」を意味します。※1 私たちは日常生活の中で、わからないことをインターネットで調べたり、病気を治すために薬を飲んだり、疲れた時にリフレッシュとしてお酒やギャンブルを楽しんだり、人に悩みを相談したりします。

 これらは生活をより良くするための「健康的な依存」です。※2 しかし、これがエスカレートしてスマートフォンの画面を見ていないとイライラしたり、お酒やギャンブルで生活資金を使い込んだりするなど、本来の生活がうまく行えなくなった不健康な状態(病気の領域)のことを「依存症」と呼びます。※3

「アディクション(嗜癖)」とは(病的な状態の本質)

 一方、「アディクション(嗜癖:しへき)」は、病的な状態そのものに焦点を当てた言葉であり、情報源では以下のように定義されています。

嗜癖の本質: 快感を求める行為であり、その行為が自分を損ない始めていることに気づいているにも関わらず、強迫的・反復的にその行為を繰り返してしまうこと。※4

具体的な状態: 自分の意志ではやめられない「自己調節不能(コントロール喪失)」や、「わかっちゃいるのに、やめられない」「もうこりごりだ、また乗ろう」といった状態を指します。※5

 また、社会学者のアンソニー・ギデンスは、嗜癖を「衝動的強迫的に没頭する様式化された習慣であり、中断した場合には手に負えない不安感を生じさせるもの」と定義しています。※6

専門用語としての扱いの変化

 歴史的に、「アルコール依存(dependence)」と「アルコール嗜癖(addiction)」は同義語のように使われてきました。※7

 しかし、米国精神医学会の診断分類案(DSM-5ドラフト)などにおいて、誤解を招きやすい「dependence(依存)」という言葉を取りやめ、代わりに「Substance-Related and Addictive Disorders(物質関連と嗜癖障害)」というように、「アディクション(嗜癖)」という用語を用いる方向へと変化してきているという背景があります。※8

【出典】
1 特定非営利活動法人ジャパンマック『依存症者家族教室モデルテキストⅠ』(独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業)「依存ということ」
2 同上
3 同上「依存から依存症に」
4 特定非営利活動法人ジャパンマック『依存症者家族支援プログラム担当者 全国研修事業報告書』「依存症・嗜癖とは何か」研修スライド
5 同上
6 同上(アンソニー・ギデンス著 松尾・松川訳『近代社会におけるセクシュアリティ、愛情、エロティシズム 親密性の変容』而立書房 1995年 からの引用部分)
7 特定非営利活動法人ジャパンマック『全国研修テキスト』(依存症者家族支援プログラム担当者 全国研修事業報告書)「依存症・嗜癖とは何か」研修スライド
8 同上