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依存症者を支える人たちは、なぜ仕事を続けられるのか ―支援員のワークモチベーションを考える

このコラムは、ジャパンマックが職員向けに発行している「メンタルヘルスニュースレター」の一篇を、所外の皆様にもご紹介するものです。今回ご執筆いただいたのは、カウンセリングスペースやどりぎ所属の公認心理師・臨床心理士であるオルランド ヤコポ氏。看護師養成校での非常勤講師や教育現場での心の相談員としての経験も持つ著者が、対人援助の現場で働く私たちが日々感じている「やりがい」について、研究知見をもとに解き明かします。

対人援助職者のワークモチベーション

 これまでメンタルヘルスニュースレターでは、対人援助職に特有のストレス反応とされるバーンアウトに関する情報が度々提供されてきました。バーンアウトとは何かといった基本的な理解から、その背景要因、さらには予防方法に至るまで取り上げられ、依存症者の回復を支えることが非常に大きなストレス要因である点に焦点が当てられてきました。

 しかしながら、私たち支援者は、依存症者への支援そのものが大きなストレス要因である一方、その回復を支えることが、仕事を続けていく中での「やりがい」や「満足感・達成感」につながっていることにも気づいているのではないでしょうか。そこで本稿では、日々の実践の中で私たちが感じる仕事本来の魅力、すなわち仕事を継続する動機となる「ワークモチベーション」について深めていきたいと思います。

 なお、ワークモチベーションとは、仕事において自己の役割を遂行しようとする意欲であると同時に、それを維持しようとする心理的な働きを指します。本来であれば、
①ワークモチベーションが上がる要因・下がる要因、
②ワークモチベーションの維持方略、
の二点が主なテーマとなりますが、本稿では①を中心に解説していきます。

ワークモチベーションが上がる要因・下がる要因

 Orlando (In press) は、精神科看護師を対象として、ワークモチベーションが上がる要因と下がる要因の解明を試みました。その結果、「患者の回復過程」と「患者の回復を支える支援体制」をどのように捉えているかが、ワークモチベーションを理解するうえで重要な着眼点であることが明らかになりました。すなわち、患者やその家族、さらに支援チームとの関係性が良好である場合には、ワークモチベーションが上がる一方、困難な状況に直面すると、ワークモチベーションが下がることが示されています。この点は、精神科看護が本質的に対人関係に基づく仕事であることを反映しているといえますが、このような経験は依存症支援に携わる皆様にも共通するのではないでしょうか

 加えて、オルランド・加藤(2024)は、ワークモチベーションが上がる際には、満足感や患者の回復に対する希望や期待といった感情が得られること、逆にワークモチベーションが下がる際には、無力感や無気力感、さらには患者への怒りといった感情が湧き起こることを明らかにしました。すなわち、対人援助職者にとっては、自らの感情に向き合い、それを適切に理解・調整していくことが、ワークモチベーションを維持・向上させるうえで重要であるといえます。日々の実践の中で生じる多様な感情は、単なる副次的な反応ではなく、支援の質や仕事の継続性に深く関わる要素でもあります。したがって、自身の感情の動きを振り返り、それがどのような状況で生じているのかを捉えることは、ワークモチベーションを維持する手がかりとなるでしょう。また、感情を一人で抱え込むのではなく、同僚やチーム内で共有し、相互に支え合うことも重要な方法の一つです。
(出典:「ジャパンマック福岡メンタルヘルス部ニュースレター」No.56、2026年6月20日発行)

引用文献

Orlando, J. (In press). An exploratory study on the work motivation of psychiatric nurses. Japanese Journal of Applied Psychology. 52 (1), 2-3.

オルランド ヤコポ・加藤佳子(2024).精神科看護師のワークモチベーションに関する探索的研究.日本健康心理学会 第37回大会(大分県).

著者プロフィール

オルランド ヤコポ(カウンセリングスペースやどりぎ)
公認心理師/臨床心理士/心理劇技能士

看護師養成の専門学校で非常勤講師として「精神障害・発達障害の理解」「精神障害・発達障害とのコミュニケーション」をキーワードとした授業を担当。心の相談員として小学校の教育現場にも携わった経験を持つ。多言語(イタリア語・スペイン語・英語)の非常勤講師経験もあり、外国人へのカウンセリングにも対応可能。趣味は散歩や読書、映画鑑賞、美術鑑賞など。


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福岡市東区にある民間のカウンセリング施設です。ネット依存、ゲーム依存を始めとした各種依存症や発達障害、ひきこもり 、トラウマ など、さまざまな な困りごとを抱えた方の問題の整理をお手伝いします。
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