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高橋悠さん「わたしは盗らないクレプトマニア」、第58回オンライン連続講座を受講して

2026年7月24日、第58回ジャパンマックオンライン連続講座が開かれました。講師は、ASK認定依存症予防教育アドバイザーで、クレプトマニア(窃盗症)と摂食障害の当事者である高橋悠さんです。演題は「わたしは盗らないクレプトマニア〜盗らない生活を手に入れるまで〜」。オンラインで約90分、ご自身の経験をもとに、窃盗症からの回復について語られました。高橋さんの登壇は昨年に続いて2回目で、前回の反響を受けての再開催です。広報担当として、今回の講義を受講した立場から、感じたことを記しておきます。(文・木村邦彦)

高橋さんが回復のためにしたこと

講座は淡々とした語り口で進み、経緯の説明を短くまとめ、回復のために実際に何をしたかに重点を置いた構成でした。

はじめに、クレプトマニア(窃盗症)がどのような状態かについて語られました。お金があっても、必要がなくても、捕まる危険を冒して窃盗を繰り返してしまいます。窃盗は加害行為であり、やめなければなりません。同時に、一人の意志ではやめられない病でもあります。単なる万引きの常習とは異なるのは、背景に「満たされない感覚」があるためだといいます。

続いて、高橋さんご自身の歩みが語られました。背景には、摂食障害や性自認をめぐる葛藤、育った家庭環境、職場でのハラスメントによるうつ病など、いくつもの生きづらさが複雑に絡み合っていました。そうしたなかで追い詰められ、やがて万引きに至ります。逮捕を重ねてもやめられませんでしたが、通院と自助グループへの参加を続けられました。

転機の訪れは、入院して盗めない環境に身を置いたことです。隠し続けてきたことを家族に打ち明け、その支えを受けながら、被害の弁済に向き合い、回復へと歩まれています。

講義では、盗らない生活を続けるための具体的な工夫にも時間が割かれました。買い物の仕方や服装・持ち物を変えること、人とのつながりを増やすこと、スリップ(再び行為に及んでしまうこと)の兆しに早く気づくことなどです。

こうした内容は、2026年5月に刊行された著書わたしは盗らないクレプトマニア(リンク先は金剛出版のHP)にも詳しくまとめられています。

なぜやめられないのか

印象に残ったのは、依存の背景に過度な節約志向があるというお話でした。節約は世間で勧められることが多いですが、度を越すと歪みが生じます。万引きへと結びつく背景には、物やお金が減ることへの強い不安があります。お金を減らさないための努力を重ねた末に窃盗へ向かってしまう——そういう流れがあると知り、やめたくてもやめられない行動にも、そこに至る理由があると感じました。

支援者に向けた「浮き輪」のたとえも心に残りました。そばで応援する人の存在が回復を支える一方で、助けたい一心で飛び込めば、かえって一緒に溺れてしまうこともあります。信じて浮き輪を投げ、あとはつかむかどうかを本人に委ねる。そういう距離感が要るのだと受け止めました。

次回のご案内 福正大輔さん『マックダルク以外の回復方法』

次回の連続講座は『マックダルク以外の回復方法』です。2026年8月28日(金)午後7時から、NPO法人ホッとスペース中原(神奈川県川崎市)の福正大輔さん(演出家、俳優、社会福祉士、公認心理師)を講師に迎えて開かれます。申し込みは専用フォーム(form.japanmac.com)で受け付けています。

※本記事は、広報担当が一受講者として記した個人的な感想です。

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