「ギャンブルで問題を抱えるのは、重度の依存症の人だけ」——そう思っていませんか?日本の研究者グループが2024年に国際誌で発表した研究によると、2019年に約3900万人(成人の約3割)がギャンブルを経験し、そのうち数百万人が金銭面や健康面で害("gambling-related harm (GRH)")を受けていました。注目すべきは、これらの問題の6割以上が「依存症ではない」と評価された層に集中していた点です。「依存症ではない層」に集中する問題の実態と、その背景にある「予防パラドックス」について解説します。
ギャンブル等依存症は、「ごく一部の、人生が大きく損なわれた人」の問題だと思われがちです。しかし日本の研究者グループが国際誌に発表した推計研究によると、「自分は依存症ではない」と考えている人たちにも、影響が及んでいることが分かってきました。
この研究では、2019年にギャンブル経験のある日本の成人を対象にオンライン調査を実施し、ギャンブルの実施状況と、それに伴う金銭面・健康面・仕事・家族関係などへの影響を調査しました。その結果を公的統計データで全国規模に推計したところ、日本全体で約3900万人(成人の約3割)が少なくとも1回ギャンブルを経験しており、約440万人が金銭面で、約270万人が健康面で、約250万人が感情・心理面での害("gambling-related harm (GRH)")を経験していたことが明らかになりました。

注目すべきは、金銭面、健康面、感情・心理面の影響において、その6割以上が「非リスク」「低リスク」と評価された、いわゆる依存症とは診断されない層に集中していた点です。
研究者はこの現象を「予防パラドックス」と呼びます。重度の依存症者は一人当たりの影響は深刻ですが人数は限られています。一方、「週末に少し遊ぶ程度」といった軽度の問題を抱える人は人口として圧倒的に多く、その小さな害の積み重ねが、社会全体の負担を大きくしているという考え方です。
ここで重要なのは、「依存症か否か」で線を引くことではありません。「依存症ではないから大丈夫」と考えている人にも、金銭や時間、感情面で少しずつギャンブルに影響される過程があることを知ってもらうことです。
初期のサインに気づくための情報や、家族や友人が心配を感じたときの対応方法を発信することで、この「自分は依存症ではない」と感じている層にも届く支援が可能になります。
ジャパンマックでは、ギャンブル等依存症に関する相談を受け付けています。本人だけでなく、家族や周囲の方からの相談にも対応しています。
参考文献:
Hwang C, So R, Hashimoto N, Baba T, Matsushita S, Browne M, et al. National burden of gambling in Japan: an estimation from an online-based cross-sectional investigation and national epidemiological survey. BMC Public Health. 2024;24:1703. https://doi.org/10.1186/s12889-024-19197-z
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