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ギャンブル依存症から立ち直る ジャパンマック福岡ポート事業所・施設長の体験談

ジャパンマック福岡・PORT(ポート)事業所は、ギャンブル依存症に特化した回復支援施設として2025年3月に開設されました。当事者スタッフとして勤務する河野壮志施設長は、ギャンブルにのめり込み転落を経験した過去と、回復を経て現在支援する側に立つまでの歩みを語ります。
※本記事は「ジャパンマック福岡便り」(2025年8月号)に掲載された内容を転載しています。

ジャパンマック福岡・PORT事業所 施設長 河野壮志

はじめに - 当事者スタッフとして

 ジャパンマック福岡に、ギャンブル依存症に特化した"PORT事業所"が今年3月にできました。私は当事者スタッフとして、この事業所」働いています。

関連記事▶【お知らせ】11月23日 ギャンブル等依存症セミナー開催/ジャパンマック福岡・PORT事業所

 私がギャンブルをやり始めたのは19歳の時、当時通っていた大学の友人に誘われたのがきっかけでした。当時のことはよく覚えているのですが、初めて触った機種はジャ〇ラーで一度も当たりを引くことができずに5000円程負けました。誘ってくれた友人には何が面白いのか、こんなことにお金を使う意味は何なのかとグチグチと八つ当たりをしたのを覚えています。ですが、何か自分の心の中で負けっぱなしでは悔しい。とか、お金を何の意味もないことに使える自分がお金持ちになったような感じでカッコいい。とか、そんなことを思っていました。

 片田舎で周囲には何もない大学に一人暮らしをしながら通っていた私は、都合のいい女性と乱れた関係を築いたり、ただただ時間をつぶすためにギャンブル場に通ったり、少しずつ飽きを感じていた大学生活は何の実りもない時間に変わっていきました。それまでに意欲的に取り組んでいた部活でも挫折を感じやめてしまい、工学部の授業にはついていけず、堕落した生活を送るようになり、たまに帰る実家では母親に見る影もないとよく言われていました。

社会人になってからの依存の加速

 大学をやめ、仕事に就いてまとまった収入を得ると、友人関係がまともに築けなかった私は、ギャンブル場に足を運ぶ頻度が加速度的に増していきました。ギャンブルを始めて2年ぐらいの時だったと思います。給料では賄えなくなり、借金をしながら賭けていました。返済の焦りや将来への不安、あまりうまくいっていない人生、いろいろな思いをかき消してくれるのがギャンブルでした。いつしか趣味の枠を超え、安定剤のようなものになっていました。少しずつ転落していく私を支えてくれている。そんな感じです。

 転落していく中でも人生の転機は訪れるもので、22歳の時に今の妻と出会いました。それまでに膨らんでいた借金の整理と生活の基盤を立て直す手助けをしてくれました。周囲からはそんな彼女はめったにいないと言われていましたが、将来的に妻になる彼女を私は最初こそ感謝していましたがスリップする度、うそをつく度に縛りがきつくなっていく環境に憤りを感じていました。何者にも邪魔されたくない、ほっといてくれと。

人生最大の底つき体験

 そんな折に最大の転機が訪れました。再就職した先で私は横領を働き、失踪しました。もう、何かもどうでもよくなり持てるだけのお金を持って、どこかでやり直そうと思い北の方に逃げました。ですが、無責任と楽観が入り交じった行動で首が回らなくなり、妻に電話をしました。妻は選択肢を二つくれました。回復施設に行くか、そのまま行き倒れるか。ギャンブルが原因で投身自殺を図っていた過去がある私は死への恐怖にはあらがえず、回復施設に行くことを選びました。ここが私の人生最大の底つきであり、ターニングポイントでした。

 ジャパンマックでは老若男女いろいろな依存を持つ人が集まっており、入所当日はなじめずにいました。実はそれから半年ほど、まともに行かずのらりくらりしていました。自分から見ても回復に真剣に向き合っていない自分をマックの仲間は、声を掛けてくれたり、不思議なあだ名をつけたりと煙たがることなく受け入れてくれました。いつしか、そんな仲間に導かれるようにして私は自分自身と向き合うようになり、理屈では説明できない心の動きを感じました。ここで頑張っている人たちの輪に入りたい、この人たちのように回復していきたいと思えるようになっていました。

回復への道のり

 人生はそんなにうまくはいかないものです。それでも紆余(うよ)曲折ありました。誰かとぶつかったり、家庭の不和だったり、どうしようもなくマックに行きたくない出来事が起こったり、いくつも壁にぶつかりました。でも、その度に仲間の支えと12ステップで得られた考えを使って問題を乗り越えてきました。決して一人ではたどり着けなかった場所に今はいます。私はここに書ききれなった自分勝手な自我を少しずつ修正していき、福岡のとある場所で普通の人のように支えてくれた妻と3人の子どもと暮らしています。昔、私に誰かが言ったギャンブルをやめ続ければ幸せになれるというのを肌で感じています。

 この体験をこれからも同じ悩みを持つ人たちに伝えていきたいし、今いる仲間とこのあと訪れる仲間とで本当の幸せを分かち合いたいと思っています。そして今悩んでいる人、その家族や支援者、少しでも多くの方にこのメッセージが届いてくれればと思います。

  • 出典:「ジャパンマック福岡便り」(2025年8月号)


ジャパンマック福岡

 ジャパンマック福岡は、依存症からの回復と成長を目指す方々を支援する施設です。近年ではアルコールやギャンブルに限らず、薬物、摂食障害、買い物依存、ネットゲームやスマホ依存、性依存、アダルトチルドレン(AC)など、多様な依存の問題が広がっています。対象は女性や若年層、高齢者にまで及び、一人ひとりの状況に応じた支援が求められています。 依存症は「病気」であり、早期発見と早期対応が回復への近道です。ジャパンマック福岡のプログラムは、正しい知識を学び、適切な回復の方法を実践することで、多くの成果を上げてきました。

電話で無料相談:092-292-0182
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