新着記事の情報はありません。
スマホゲームやパチンコに、気づけば時間もお金もつぎ込んでしまう。「わかっているのに、やめられない」のは、意志が弱いからではありません。私たちの脳の中では、3つの「動物」がせめぎ合っています。ギャンブル等依存症が起きる仕組みを、脳の仕組みから読み解きます。
きょうは2026年7月17日、金曜日。関東方面では、しとしとと雨が降っています。本格的な暑さを前にして、少しジメジメとした空気を感じる季節です。
「雨だし、なんだか気分が晴れないな……」
そんなとき、日々の退屈やストレスを紛らわせるために、ついスマホのゲームを開いたり、パチンコ屋に足が向いたりすることはありませんか。最初は「ほんの息抜き」のつもりだったのに、気づけば時間もお金もつぎ込んでしまい、心の中で「だめだ、やめなきゃ」と思っているのに止められない。こうした「わかっちゃいるけど、やめられない」状態は、あなたの意志が弱いからでも、だらしないからでもありません。実は、私たちの脳の中で「3つの動物の脳」がパニックを起こしている、いわば「病気(不調)」の状態なのです。
きょうは、ギャンブル等依存症対策の専門人材を育成する民間資格「ギャンブル等依存症対策士」の公式テキストで紹介されている考え方をもとに、はまってしまう脳の仕組みについてお話しします。
人間の脳は、進化の歴史をたどりながら、地層のように重なって発達してきました。『ギャンブル等依存症対策士資格認定テキスト』(一般社団法人ギャンブル等依存症対策研究会監修、中央法規出版)では、私たちの頭の中に同居する脳の働きを、大まかに「爬虫類の脳」「哺乳類の脳」「霊長類の脳」という3つのたとえで説明しています。
爬虫類の脳(生きるための脳):脳の奥深くにある「中脳」と呼ばれる部分です。呼吸、食事、生殖行動など、私たちが動物として生きのびるための本能に関わっているとされます。
哺乳類の脳(感じる脳):中脳より少し前側にある「辺縁系」と呼ばれる部分です。喜怒哀楽といった感情に関わり、その中には「もっと欲しい」「もっとやりたい」という欲望に関わる「側坐核」という場所があります。ここはいわば、行動を進める「アクセル」役です。
霊長類の脳(考える脳):前頭葉の一番前側にある「前頭前野」です。理性で本能的な行動に「ブレーキ」をかける役割を持つとされています。
普段は、この3つの脳がバランスを取り合いながら、私たちは穏やかに暮らしています。
では、ギャンブルやゲームなどの刺激的な行為を繰り返すと、脳の中では何が起きるのでしょうか。
飲酒やギャンブル、ゲームなどの行動を取った際に、即座に快感が生じたり、苦痛が消えたりすると、脳の奥にある中脳の「腹側被蓋野」という場所が刺激されます。この刺激により、側坐核と前頭前野で、興奮や快感をもたらす「ドーパミン」という神経伝達物質が放出されます。側坐核で放出されたドーパミンは、「もっとやりたい」という欲望をかきたてます。行動へのアクセルが強まる状態です。
一方、前頭前野で放出されたドーパミンは、なんとこの前頭前野の働きを弱めてしまいます。理性によるブレーキが効きにくくなるということです。想像してみてください。「もっと進め」とアクセルが踏み込まれているのに、ブレーキを踏んでもスカスカと抜けてしまう車を。
これが、依存症の脳の中で起きているとされる状態です。どれほど本人が「もうやめよう」とハンドルを握りしめても、車は簡単には止まってくれません。意志の力だけでこの状態を止めることが、いかに困難であるかがお分かりいただけると思います。
お酒や薬物などの「物質」だけでなく、ギャンブルやゲームなどの「行為(プロセス)」であっても、脳の中で起きているメカニズムは共通していると言われています。
一度この状態に陥ってしまうと、自分の力だけでブレーキを修理することは非常に困難です。必要なのは、根性でやめようと踏ん張ることではなく、安全に停車させ、整備できる「環境」と「仲間」に出会うことです。
私たちジャパンマックのような回復支援施設では、お酒やギャンブルから物理的・精神的に距離を置ける安全な居場所を提供しています。そして、同じような経験を持つ仲間たちと共に、「12ステップ・プログラム」などを通じて、少しずつ、依存に頼らない新しい生き方を練習していきます。
雨の日は、家で一人でスマートフォンやパソコンの画面と向き合っていると、ふとした瞬間にアクセルが踏み込まれやすくなります。そんなときは、一人で抱え込まずに、ぜひマックへ足を運んでみてください。あなたのブレーキを、一緒に支える仲間がここで待っています。
新着記事の情報はありません。