『ジャン・ミニーの12ステップ』は、アルコール依存症などに苦しむ人々が歩んだ回復への道を伝える一冊です。依存症回復支援の先駆者であるジャン・ミニー神父をはじめとする回復者たちが、12ステップのプログラム通じて、依存症と向き合った姿が描かれています。
『ジャン・ミニーの12ステップ』は、アルコールなどの依存症に向き合う人々の体験談をもとに、回復に必要な考え方や実践を綴った一冊です。依存症という病気を、12ステッププログラムを通じてどのように受け入れていったかのか、わかりやすく語られています。
ジャン・ミニー神父は、1974年に日本で初めて、共同生活という形で依存症回復支援に取り組みました。この活動を契機として、1978年に依存症回復支援施設「みのわマック」が開設され、これが現在のジャパンマックの始まりとなりました。ミニー神父自身もアルコール依存症からの回復者であり、その経験をもとに日本で回復支援活動を展開した先駆者として知られています。
本書では「12ステップ」の効果を裏付ける、アルコールなどの依存症者や支援者の実体験を豊富に紹介。その一方で、ミニー神父は「12ステップ」が万能な解決策ではなく、各個人の状況や回復への意欲によって成果が大きく異なることも強調しています。
「依存症の場合、人間ですから個人差があります。その個人差ということについて、私たちはもっと深く考えなければならない」として、「洗濯機で洗うように自動的にプログラムにつながって回復して、社会復帰する人はいません」(8ページ)と語ります。
では、何が必要なのでしょうか? 回復のために必要なのは「やる気」と「決心」だと言っています。
「リハビリ・プログラムを受けて治すのは本人です。しかし、その本人が自分自身を治すために第一に必要なものはやる気です」(9ページ)
支援者の役割は、「やる気」を引き出し、それを維持するための環境やきっかけを提供すること。その具体例として、小さな希望を抱かせる支援の重要性が挙げられています(10ページ)。さらに、精神的な支えに身を委ねることや、同じ苦しみを共有する仲間との絆の大切さも、体験者たちの言葉を通じて描かれています。
「今日飲まないで仲間に会いに行くというのが今日一日の生き方でした。そして、自分の足で歩いて、仲間の話を聞いてやめられるというのは半信半疑でした。しかし、自分の回復を信じてくれる仲間はいること、今日この人についていかなければ寝るところが無いことが、私を助けました」(17ページ)
▲写真はイメージ(みのわマックの活動風景)
本書は依存症と向き合う人々や、その支援者にとって、大きな理解やヒントを得る手掛かりとなるに違いありません。
(文・広報KK)
まえがき
第1章 第1回マック・ステップ・セミナー
「あいさつにかえて」 ジャン・ミニー神父
「AA回復のプログラム」 田中道雄神父
ステップ1
ステップ2
ステップ3
ステップ4・5
ステップ6・7
ステップ8・9
ステップ10
ステップ11
ステップ12
関係者の話
第2章 あれから10年
「僕の原点」村田由夫
「ほんのちょっとお手伝い」宮下忠子
「MAC、AAそしてミニーさんのこと」三船英男
第3章 付録
ハーフウェイハウスにおけるアルコホリズム・プログラム
AAの12ステップ
あとがき
25年のステップ
出版日:2020年4月24日 初版第1刷
著者:みのわマック・みのわマックを支える会企画委員会編集部
制作:特定非営利活動法人ジャパンマック
単行本:183ページ
アルコールなどの依存症は、自分の意思とは関係なく依存が形成される病気です。習慣的な要因によるもので、誰にでも陥るリスクがあります。 1978年に設立された「みのわマック」は、日本で初めて12ステッププログラムを導入した依存症支援施設であり、依存症に苦しむ多くの人々の回復をサポートしています。長年の経験をもとに依存しない生活を送れるよう支援し、社会復帰を目指すためのプログラムを提供しています。
依存症に関するご相談は、ジャパンマックのウェブサイトの問い合わせフォームやお電話にて承っております。依存症でお悩みの方やご家族の方は、どうぞお気軽にご連絡ください。
電話でのお問い合わせ:03-3916-7878
相談フォーム:ジャパンマック 依存症相談ページ