11月27日、みのわマック心理職員・塚田朋之氏が、東京保護観察所の杉山弘晃所長より感謝状を授与されました。塚田氏は自身の経験を活かし、性犯罪再犯防止プログラムのファシリテータとして活動。当初は数名だった参加者も、現在では多くの人が参加するようになり、こうした貢献が評価されました。以下は、塚田氏によるメッセージです。
(トップ画像は東京保護観察所・杉山弘晃所長から感謝状を受け取る塚田朋之氏(右))
今年11月27日付で、東京保護観察所の杉山弘晃所長から感謝状をいただきました。
▲左から東京保護観察所の杉山弘晃所長、みのわマック心理職員・塚田朋之氏
2021年(令和3年)1月から現在まで、東京保護観察所で行われる性犯罪再犯防止プログラムのファシリテータとして従事してきました。性的な犯罪を犯して保護観察処分を受け、遵守事項で義務化されているコアプログラムを終了したのち、ご本人の希望で受けられる任意の再犯防止プログラムです。実は私も2013年に満期釈放され、更生した生活を送る性依存症の元受刑者です。
私が心理カウンセラーになったのは社会復帰した残りの人生を、どのように新しく生きようかと模索する中で、かつての自分と同じ問題を抱えて「人生がどうにもならなくなった」人たちを精神面、心理面で支援しながら生きていきたいと願ったのがきっかけです。
私自身、嗜癖行動が止められず苦しんでいたころに、心理カウンセラーに相談したいと思ってもその費用は1回1万円ほどかかるのが普通であり、嗜癖のせいで生活に困窮していた私には、とても無理でした。今から15年以上前のカウンセリングは、首都圏でもカウンセラーの多くが女性であり、また、仕事帰りに通える時間に利用できるところはありませんでした。
折しも、男性の自殺者が全国で2万人を超える時代を社会人として過ごし、「嗜癖行為がなければ死んでしまう」と思い詰めていた自分のような人たちを一人でも救うことが、ひいては「性犯罪の件数を減らすことにつながるはず」と思い立って勉強し、資格を取り「仕事帰りに頼れる男性カウンセラー」を標榜して、2016年に個人事業を立ち上げました。経験を積みながら産業カウンセラーや公認心理師の国家資格を取得し、職場のハラスメントや、性やアルコールの問題で苦しむ方々とその家族からのご相談を受けました。
クライアントに12ステップや自助グループを紹介する一方で、私も性に依存するアディクトを対象とする自助グループに通い続け、当時は東京保護観察所所長であり、現在のジャパンマック副代表である荒木龍彦氏にメッセージを届けました。
今思えば、私が再犯(スリップ)せずにどこまで支援活動を続けられるか、ずっと見守り続けてくださったのでしょう。しらふ(クリーン)を続けて10年目になるのを機に、東京保護観察所で再犯防止のプログラムをやってみないかとお誘いをいただいたのです。
ご担当の保護観察官にお会いしてみると、犯罪の中でも比較的再犯率の高い性犯罪に12ステップや自助グループの要素を役立てられないかと模索しておられたのでした。
▲感謝状を授与された当日の様子
性犯罪の再犯防止と撲滅に一個人として取り組んできた私に、目をとめ、手を差し伸べてくださった東京保護観察所の皆様の寛容さとこころざしの高さに今も驚いています。任意のプログラムということもあり、2021年はわずか数名の参加者だったこのプログラムも今は参加者15名という日も珍しくなくなりました。性犯罪の再犯防止に貢献する元性犯罪受刑者という立場で、今後も継続してスーパーバイズを行っていく予定です。
はじめは嘱託の個人事業主でしたが、現在はジャパンマックの職員の一人としてご依頼を受けています。ご担当だった観察所職員の方々は皆さまご栄転され、気づけば立ち上げ当初を知る唯一のメンバーとして様々な意見を求められる立場になりました。これもジャパンマックという伝統と実績のある職場で働かせていただいているからこその賜物です。
今回、感謝状をいただけることへの感謝をハイヤーパワーと仲間の支えに捧げます。本当にありがとうございました。
(みのわマック心理職員・塚田朋之)
1978年6月、日本で初めて12ステッププログラムを使って依存症者の回復と成長をサポートするアルコール等依存症者リハビリテーションデイケア施設「三ノ輪MAC」として発足しました。設立者もアルコール依存症者の当事者であり、当事者による当事者へのサポートを大切にしてきました。現在も代表理事やスタッフなど、多くのスタッフは、依存症の当事者が勤めています。
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