ジャパンマックはこのほど、「タケダ・女性のライフサポート助成プログラム」の一環として、Zoomを使用した連続講座「依存症からの回復について考える」(第43回)を開催しました。今回の講座では、「海外における摂食障害治療と当院の取り組み」をテーマに、八幡厚生病院の米良貴嗣先生がご講演くださいました。
1月24日、ジャパンマック主催の連続講座(第43回)が開催されました。この連続講座は、「タケダ・女性のライフサポート助成プログラム」の支援を受け、ZOOMを活用して実施されています。
今回の講師は、米良貴嗣(めら たかし)先生(医療法人社団 翠会 八幡厚生病院 診療部長)。長年にわたり摂食障害の治療に注力されています。本講座では、「海外における摂食障害治療と当院の取り組み」をテーマに、海外の事例を交えながら、摂食障害の治療方法や日本における課題について深く掘り下げました。
今回の講座では、摂食障害に対する一般的なイメージを投げかけた上で、「なぜ体型や体重を過大に評価するのか?」「なぜ低い自尊心が形成されるのか?」「摂食障害と窃盗の関係」などについて解説されました。
また、日本における摂食障害治療の現状や課題が示されるとともに、米国の治療システムの例として、キャロリン・コステインが創設した24時間体制の摂食障害専門施設の取り組みなども紹介されました。海外の治療モデルから学ぶべき点が多く、日本の今後の治療の方向性についても考えさせられる内容でした。
広報担当者が米良先生のお話のなかで、特に興味深かったのは「なぜ低い自尊心が形成されるのか?」という問いかけでした。
体型や体重を過大に評価してしまう背景には、低い自尊心が関与すると指摘。「前思春期から思春期の心理特性(自尊心が傷つきやすい年代)」「発達障害や知的障害の併存」「自尊心の低いパーソナリティの形成」の3つの視点から解説がありました。
発達障害や知的障害のある人が摂食障害を発症しやすい背景として、社会生活の中で傷つきやすいことが要因の一つと考えられています。
摂食障害のある人のうち、26.5%に自閉スペクトラム症(ASD)の特徴が見られ、4.7%がASDの診断基準を満たすという研究が紹介されました。また、摂食障害の1.6~18%がADHDの診断基準を満たし、特にADHDの特性がある場合、過食や代償行為が見られる傾向があるそうです。さらに、ADHDの女性が生涯にわたって摂食障害を併発する有病率は21.8%と報告されており、両者の関連性が示唆されました。
自閉症傾向のある人は人間関係がうまくいかず、ADHDの傾向がある人はミスを理由に叱責されることが少なくありません。また、知的障害のある人は、学習の遅れなどが自尊心に影響を与えることがあるといいます。それが摂食障害の発症につながる可能性があると聞き、"自尊心"の在り方について改めて考えさせられました。
(文・広報K.K)
次回のセミナーは、2月28日(金)19:00~20:30 に開催予定です。テーマは「聖書と依存症」で、カトリック教会名誉司教・JCCA(日本カトリック依存症者のための会)委員長の谷大二先生を講師に迎え、聖書の視点から依存症回復を考えます。
詳細や申し込みは、下記の告知ページをご確認ください。
▶第44回ジャマンマック連続講座「聖書と依存症」