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第44回連続講座『聖書と依存症』(谷大二先生)の録画を視聴できます!

『底つき』の先にあるもの——なぜ依存症回復には12ステップが必要なのか?/連続講座 谷大二先生(第44回)レポート

このほど、ジャパンマックは連続講座『聖書と依存症』(第44回)をオンラインで開催。講師にカトリック教会名誉司教・JCCA委員長の谷大二先生を迎えました。講座の様子を、司会を務めたジャパンマック事務局長・森啓介氏の解説とともにお届けします。

 2月28日、ジャパンマックはオンラインで連続講座『聖書と依存症』(第44回)を開催しました。本講座は、『タケダ・女性のライフサポート助成プログラム』の一環として実施されたものです。カトリック教会名誉司教でありJCCA(日本カトリック依存症者のための会)委員長の谷大二先生を講師に迎え、依存症回復と12ステップについて講義が行われました。

 当日の司会を務めたジャパンマック事務局長・森啓介氏が、以下でその内容を振り返ります。

なぜ、マック・ダルクは「12ステップ」に取り組むのか?

 「12ステップ」はその成り立ちからも宗教色が濃いイメージです。

 谷先生は、信仰に無関係な依存症回復者たちが、日々「12ステップ」を真摯(しんし)に、地道に取り組んでいることは、宗教者から見ても社会一般から見ても「不思議」なこととおっしゃっています。どうしてなのでしょうか? そこには、依存症回復者の共通点である「底つき」体験が影響しているとしています。

 「底つき」体験、言い換えると「依存対象物に対する敗北宣言」があって、回復のスタートラインに立つことが可能で、その先にある道が開くとされています。

 私は「底つき」は人それぞれで、最悪の状態に立ち至らず「無力」を認知できると信じていますし、これから回復を目指す方はそうあってほしいと切に願っています。私たちが経験したような長期間病気に捉われた日々を経験せずに回復につながれたなら、本人や家族にとってそれにまさる幸運はないと思います。

 「もう飲むのをやめた」「これじゃダメだ」と思うきっかけはさまざまですが、それを実行に移せたタイミングが、その時の状態がその人にとっての「底」なのではないでしょうか。

 余談が長くなりましたが、先生は、日航機墜落事故やハンセン病を例にし、さまざまな場面で私たちは「底つき」を体験することがあるとおっしゃっていて、私もその通りだと思います。また、信仰も同様でキリスト教の成立やパウロの底つき体験を例に説明してくれました()。

なぜ、マック・ダルクはグループミーティングが必須なのか?

 霊的プログラムといわれる「12ステップ」を「霊」という言葉を通して解説していただきました。「霊」という言葉、つながって間もない多くの仲間が戸惑う言葉ですよね。私も同様で、ビックブックの表現や仲間たちが使う言葉に違和感がありました。

 霊感商法や悪霊・死霊といったオカルトチックなイメージから、どうしてもネガティブな捉え方しかできませんでした。回復につながり、年を追うごとに「霊」という言葉のイメージが改善し額面通りの捉え方ができるようになるから不思議です。

 谷先生は、「人間の中にある霊」「神から来る霊」に分けて説明しています。

  ビックブックは第4章「私たち不可知論者は」で、「霊」について「神」について「信仰」「ハイヤーパワー」について、偏見を持つことの無意味さを示唆しています。

  80~81ページに、

 事実、私たちは自分をごまかして目をつぶっていた。男にも、女にも、子どもにも、一人一人のおおもとの深いところに神の意図がある。それは災難や、見せかけの華やかさや、他のものへの崇拝などにおおわれてよくわからなくなっているかもしれないが、何かのかたちをとって必ずそこにある。自分を超えた偉大な力への信仰と、その力によって人生に現れる奇跡は、人類が始まってからずっとあったのだ。

 何らかのかたちでの神への信仰は、私たちが友人に対して持つ感情と同じように、自分たちのなかに初めから組み込まれていたことに私たちはとうとう気づいた。恐れずに探し求めなくてはならないこともあったが、神はいつもそこにいた。自分がここにいるのと同じように。その「偉大な実在」を私たちは自分のいちばん深いところに見つけた。結局のところ、神を見つけられるのはそこだけだ。

 とあります。

  私たちは、「神」「ハイヤーパワー」「偉大な力」「霊」といったものを外側にしか求めないことが多いのではないでしょうか。

  谷先生のおっしゃる聖霊の受け皿になる内なる霊が、必ず私たちの内的資源として備わっているとすれば、まずはその資源を掘り当て感度良く働くように調整する必要があるのではないでしょうか。

 そして、グループミーティングの必要性を、以下のように説明されました()。

 「アディクション」の対義語は「コネクション」、とも言われます。依存症は「孤立の病気」と言われます。マックやダルクでは、どこかに置いてきた人との関わりをもう一度手に取り、その築きかたをミーティングや12ステップを通して、仲間との共同生活を通して、再び学ぶ場所とも言えます。

 最後に、今回の連続講座のタイトルでもある谷先生の著作をご紹介いたします。

(文:ジャパンマック事務局長・森啓介)

『聖書と依存症』

聖書から読み解く人間解放の道標
依存症回復プログラム12ステップ

第1章 日本で独自の発展を遂げているマック・ダルク
 人間性回復の側面から依存定の回復をめざす
第2章 依存症で国家を分裂させたソロモン王
 イエスと出会い 依存症から回復するサマリアの女
第3章 偶像崇拝と依存症の深いかかわり
 詩編40に隠された謎を解きマックダルクの使命に迫る
第4章 迫りくる死底つき体験
 詩編107、死に向き合わなければ神への気づきはない
第5章 人間解放の歩み
 詩編51から12ステップを読み解く


問い合わせ先→全国のマック、ダルク、琉球新報STOREで販売
5冊以上注文される場合、谷司教まで(著者割引、送料無料)
marcellinotani@yahoo.co.jp
(アマゾンでは販売していません)


注※ 詳しくは、連続講座動画をご覧ください。下記「ジャパンマック連続講座(録画ファイル)の視聴申し込み」より個人名または団体名とメールアドレスをご記入いただきますと、リンクを自動でお送りいたします。
ジャパンマック連続講座(録画ファイル)の視聴申し込み

次回の予告(第45回「マックとの出会いと依存症回復支援施設の役割」)

 次回は、3月22日(土)19:00~20:30 に開催予定です。テーマは「マックとの出会いと依存症回復支援施設の役割」で、日本福祉教育専門学校 精神保健福祉士養成学科(昼間部)の岡崎直人先生を講師に迎え、依存症回復について考えます。

 詳細や申し込みは、下記の告知ページをご確認ください。
第45回ジャマンマック連続講座「聖書と依存症」