前回はMaslachらを中心とした研究グループが提唱した、対人援助職特有のストレス反応とされる「バーンアウト(燃え尽き症候群)」について紹介しました。そこで、今回は精神疾患患者(依存症含む)と関わるスタッフのバーンアウトを促進・抑制する要因をご紹介します。
長期間にわたり人に援助する過程で、心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果、極度の心身の疲労と感情の枯渇を主とする症候群とされます(Maslach & Jackson, 1981)。以下に、精神疾患患者と関わるスタッフのバーンアウトを促進・抑制する要因を示します。
「介入の困難さ」や「患者からの否定的な行動」を含むストレッサーは、バーンアウトを促進する最大の要因と言われています。また、それらのストレッサー体験に伴う患者へのネガティブな感情もバーンアウトを促進する要因です。
しかし、それらストレッサー体験があったとしても、患者視点を獲得すること、つまり患者を共感的に理解することによって、バーンアウトは抑制されると考えられます。バーンアウトが抑制されると支援者の精神的健康とともに患者の精神的健康も回復に向かうとされるため、日々の業務の中で“感情を調整する”ことはとても大切です。
(公認心理師・臨床心理士=オルランド・ヤコポ)
【引用文献】