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アルコール依存症者の葛藤「必要な力がないこと、それが問題だった」/岡田代表コラム

「必要な力がないこと、それが問題だった」。アルコール依存症者の葛藤を描き出す岡田昌之・ジャパンマック代表のコラムです。回復には「やめたい自分」の優位性を保つための継続的な自助努力が不可欠です。家族や支援者は長期的な視点で支援を。
(初出『ジャパンマック福岡便り』)

前回▶「サイコパス」と依存症--自己中心性から抜け出る/岡田代表コラム

 必要な力がないこと、それが問題だった。

 ビッグブックの(p66 l12)にこう記載がある。「必要な力がないこと、それが問題(ジレンマ)だった」とある。お酒をやめたいけど、やめられない依存症者を表したものだ。医療や支援の現場で使われている両価性と同じである。「お酒をやめたい自分」もいるし、「お酒を飲みたい自分」もいる。脳科学的にいう報酬系における理性の効きづらい、極めて依存症的な葛藤だ。依存症ではない人にはないものだ。

 ジャパンマック福岡の非当事者のワーカーで、サービス管理責任者としても活躍していて、とても人望の厚い方から、最近聞いた話がある。個別支援計画を作成し、ご本人の支援をして1年以上やめている方がすべてをぶち壊すように再発する場面に触れると理解に苦しむ。両価性の苦しみを体験している私たち当事者にとっては、当たり前のことなのだが、同じ職場で同じように支援をしていても、感覚が理解できないようで、最近では急性期における「リハビリ」と急性期が終わった「維持リハ(ビリ)」の考え方を持たないといけないようだとお話をざれていた。

 それまではジャパンマック福岡で一生懸命回復に取り組んで安定してくれば放って置いてもその状態を維持できると思っていたのだと思う。私がいつもチーム支援を行う上で歯がゆく思うのが、この「維持リハ」的考えが、共有できないことだ。しかし、強調したいことは依存症者が「維持リハ」をおろそかにしたら、再使用(※)に向かっていることだけは確かだと思う。

※再使用: 最近、SMARPP(スマープ)に触れることが多く、その中で「再発」と「再使用」として用語を使い分けている。12ステップグループのメンバーにはなじみ深い言葉として「ドライドランク」と「スリップ」として用語を用いている。12ステップグループでは「スリップ」したことを「再発」したと一般的に言っているので混同しやすいが。スマープでは「再発」を依存症的行動、依存症的感情、依存症的思考として「再使用」の前に現れる悪い兆候としてとらえて対処を促している。

 依存症者は再使用に向かわないために、常に自分の中にある「やめたい自分」と「飲みたい自分」の存在を自覚し「やめたい自分」の優位性を確保し続ける「維持リハ」が必要になる。「維持リハ」の代表的な例は病院や施設で「リハビリ(やめる生活の基礎作り)」をした後、自助グループに所属し活動をすることである。「当事者文化」に浸り続けることが大切になる。もちろん、人によって浸り方はさまざまであるが、浸り続けることを目指すのが「維持リハ」である。回復した当事者にしてみたら必須だ。

 家族や支援者の方々の最大の悩みは、「両価性」における「飲みたい自分」優位の否認の状態が根底にあると思っている。「入院したほうがいいのに」「施設に入所したほうがいいのに」「やめないと離婚になるのは本人もわかっているに」入院をしないし、自力で生活を希望するし、本当に離婚してしまった。さらに、家族や支援者のジレンマは、依存症者自身の「自己決定」を優先させるということなのだろう。依存症者の脳は制御不能だから。

 最近、こんな経験をした。アルコール依存症の奥様から相談があり、ご主人の一緒に支援を始めた。仕事もしない(するする詐欺の状態)で、家に引きこもって飲んでいる。奥様がいろいろと努力をされて、依存症の専門病院に入院をご主人はしぶしぶすることに同意された。入院の前日も飲んでいたので朝ひと悶着あり、やっと病院にお連れした。もちろん、入院予約をしていた。医師との診察で、さあ入院という段になった時、医師は確認のために「入院するかしないかは、あなたが決めてください。入院したくなかったらしなくて良い」と。(一同唖然である)お酒の切れていないご主人は「飲みたい自分」が優位になり、入院を拒否した。数カ月におよぶ家族と支援者の動機づけが水泡に帰した。

 参考までに、本人が入院への意思を確認された時の医師とのやり取りを、簡単にまとめると。

医師「入院でいいですか?」
ご主人(やめたいご主人)「家族との約束だから仕方ない」
医師「入院したくなかったら、しなくていいですよ」
ご主人(飲みたいご主人)「入院しません」

 ご主人を連れて帰る車の中で奥様と腹立たしい思いを分かち合った。その後、このご夫婦は離婚をされて、奥様は自立に向けて進まれて自分の問題に取り組める環境ができた。その半年後、ご主人は無事入院されて今はグループホームの入所に向けて準備中です。医師の対応は結果100点でした。現在はお医者さんに感謝をしている。深読みをしてくださる良いお医者さんだった。今後も自信をもって仕事にあたってほしいとエールを送りたい。

 家族や支援者は緊急性のない場合は、長期的な視点に立った「やめたい自分が優位に立つ自己決定」に向けた支援を意識すればいいという教訓かもしれない。

依存症とジャパンマックの回復支援活動

 アルコールなどの依存症は、自分の意思とは関係なく依存が形成される病気です。習慣的な要因によるもので、誰にでも陥るリスクがあります。 1978年に設立されたジャパンマックは、日本で初めて12ステッププログラムを導入した依存症支援施設であり、依存症に苦しむ多くの人々の回復をサポートしています。長年の経験をもとに依存しない生活を送れるよう支援し、社会復帰を目指すためのプログラムを提供しています。

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